インストラクショナルデザイン(ID)とは、「誰もが成果を出せる学習環境をつくる専門家」です。
例えば、「新入社員用の企業研修マニュアル」があったとしましょう。それが300ページにも及ぶマニュアルで「これ読んでおいて。あとでテストするから。」と言われたら、どうでしょう。受講者はテストに怯え、内容をただ頭に詰め込むだけで終わってしまい、テストが終われば知識は現場で使われることなく抜けていってしまうでしょう。
これが ID の手にかかれば、その非効率な学習体験は「成果につながる学習環境」へと大変身です。その一例として、ADDIEに基づくインストラクショナルデザインの過程をご紹介しましょう。
まずは ADDIE の「A(Analysis)」
IDがまず行うのは、徹底したリサーチ(Analysis)です。ここはすごく重要で、ここが甘いと大けがをします(そのうちIDの落とし穴あるあるでも書いてみます)。
リサーチの段階では、「なぜそのマニュアルを読む必要があるのか?」「そもそも300ページを全て読まなければ、業務に支障が出るのか?」など、関係者と連携します。そして、「最終的に会社のビジネス成果にどう影響するか」という視点で、現時点の課題、学習の目的、達成目標などを客観的に分析して決めていきます。
次は ADDIE の「D(Design)」
そのゴールが決まれば、次は「設計(Design)」です。どうすれば学習者が最も効果的にスキルを習得できるかを検討し、内容を学習しやすい「仕組み」**へと変えていきます。
例えば、リサーチで「学習者が業務中に費やせる時間は限られている。1日10~15分が限度」という情報を得ていたとしたら、1チャプターを10分以内に収める設計をします。また、リサーチで「習得してもらいたい重要な行動」についての情報を得ていたら、その効果的な習得法として、「実際の業務に基づいた実践的なケーススタディ」を提案し、現場での意思決定力を高める学習環境を構築していくのです。
そして ADDIE の2番目の「D(Development)」
設計が固まったら、いよいよ開発(Development)です。ここでは、いきなりすべてを完成させるのではなく、「プロトタイプ(試作品)」をサクッと作り、担当者や少数のユーザーに試してもらいます。この段階で、例えばオンライン学習を提供するなら、PCだけでなくスマートフォンでもストレスなく学べるレスポンシブデザインは、学習の障壁を取り除くための設計上の義務として組み込みます。
この「試作品」の段階で、ユーザーテストやフィードバックを得て修正を繰り返すことで、大規模な手戻りを事前に防ぎます。
ついに ADDIE の「I(Implementation)」
準備が整ったら、コースの実施(Implementation)です。実施して「はぁ~終わった~」ではなく、IDの仕事はまだまだ続きます。
実際のコース提供を始めると、開発段階では想定しなかった「運用上の問題」や、「学習効果のばらつき」が生じることがあります。これこそがIDの最終ステップ評価(Evaluation)が最も重要になる瞬間です。
最後に ADDIE の「E(Evaluation)」
そこで、最初に設定した「ビジネス成果」というゴールに基づいた指標(例:業務ミスの減少率など)を継続的に計測・評価し(Evaluation)、データが示す課題に応じて学習環境をアップデートしていきます。ここでもし新たな問題が生じたら、A(Analysis) に戻ってリサーチです。
IDは一度作って終わりではなく、継続的に効果を高め続ける「改善サイクル」をつくるお仕事なのです。
まとめ
このような感じで、インストラクショナルデザイン(ID)とは、勘や経験ではなく、科学と体系的なプロセスで「成果」をデザインするお仕事です。
次は、学習環境を作る際に陥りがちな「ID の落とし穴あるある」について書いてみますね。
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