インストラクショナルデザイン(ID)の理論を学ぶと、誰もが一度は「理想の学習体験」を思い描きます。
魅力的なストーリー、緻密なスキャフォールド、洗練されたインタラクション…。
しかし、実際のプロジェクトに入ると、
時間・リソース・組織文化・関係者の利害 といった“現実”が大きく立ちはだかります。
では、IDとしてそのギャップをどう埋めていけば良いのでしょうか。
IDの仕事は「理想を押し通すこと」ではない
よく誤解されますが、IDの役割は
「理想的な学習モデルをそのまま実装すること」ではありません。
本来の役割は、
- 学習目標を達成できる 現実的な最適解 をデザインすること
- 関係者の制約の中で、学習効果を最大化すること
完璧な学習デザインが必要なのではなく、
制約の中で最も学習効果が高い選択をする判断力 が求められます。
ギャップは「悪いこと」ではなく、むしろ前提条件
プロジェクトでは、ギャップは必ず発生します。
- 現場のデータが揃っていない
- 既存システムでは動かない
- 研修時間が短い
- SMEの時間が取れない
- 受講者がそもそも学習に前向きでない
- 関係部署の利害が対立している
IDの仕事は、この “前提として存在するギャップ” に向き合い、
それでも成果を出すための仕組みを作ること です。
すり合わせのコツ:3つの視点
理想と現実の間を埋めるために、私が特に大切だと思う視点は次の3つです。
1. 学習目標を「絶対に守る領域」と「調整可能な領域」に分ける
例えば:
守るべき領域
- 必要なパフォーマンス(例:顧客対応スキル)
- 最低限の理解が必要な概念
- 事業上のリスクを伴う知識
調整できる領域
- 表現の華やかさ
- インタラクションの量
- シナリオの複雑度
- 使用ツール
「守るもの」と「変えられるもの」を明確に線引きすると、話し合いが圧倒的にスムーズになります。
2. 関係者の“本当の目的”を探る
関係者が表面的に言う要望には、しばしば 隠れた意図 があります。
例えば、表向きの要望は「動画でお願いします」には、実は「受講者が読み飛ばすから困っている」という本音が隠れてたり、
「スライドを派手にしてほしい」の隠れた意図(本音)は「上層部に説明しやすい形がほしい」だったり、、、。
真正面から理想をぶつけるより、
背景や事情を理解しながら妥協点を探る方が、結果的に効果的 です。
3. 完璧さより“1歩前進”を優先する
IDは改善サイクル(イテレーション)が前提です。
原案 → コメント → 修正 → テスト → 改善…
というプロセスを繰り返すため、一度で完璧に仕上げる必要はありません。
むしろ 小刻みに進めた方が訂正しやすい です。いっぺんに仕上げて「ドヤァ」と提出した後に「こことここを直して。これはこれと差し替えて。ここは要らない」などと言われたら泣きますよ(涙)。
なので、
- 「今回はここまでできればOK」
- 「次のバージョンで改善する」
この方針を共有するだけで、関係者とのすり合わせが劇的に楽になります。
すり合わせが上手くいくと何が変わる?
- 衝突が減る
- 関係者が協力的になる
- プロジェクトが早く進む
- 学習効果が上がる
- IDが重宝される(すみません、、、若干盛りました)
つまり、すり合わせのスキルは
プロジェクト成功の核心 と言っても過言ではありません。
まとめ
理想と現実のギャップは、IDの現場では「当たり前」に存在します。
大切なのは、ギャップに抗うのではなく、
- 守るべきものと変えられるものを分ける
- 関係者の真意を理解する
- 完璧ではなく前進を優先する
これらを意識しながら “最も学習効果の高い現実解” をつくること。
そうすることで、学習デザインはもっと現実的に、もっと効果的になります。
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