昨今のAIの発達っぷりはすごいですね。インストラクショナルデザイン(ID)界隈でも、AIの活用が急速に広がっています。
「ものづくり」において、0から1にする作業が一番時間がかかります。何もないところから作り出す苦労は、IDも同じです。AIが普及するまでは、当然すべて人の手で行われてきました。
インストラクショナルデザイナーとして、AIは痒い所に手が届く、ありがたい存在であることは間違いありません。「こんな感じのコースを作りたい」「このターゲットオーディエンスのためのモジュールを作って」と言えば数秒で作ってくれる――まるで魔法の杖のように語られることもあります。
AIあったらめっちゃ楽や~んって思うかもしれませんが、AIはあくまでお手伝いをしてくれる「ツール」であって、プロジェクトを主導する「リーダー」ではありません。魔法は存在しないのです。
では、AIはインストラクショナルデザインにおいてどのような立ち位置なのでしょうか。
そこで本記事では、インストラクショナルデザインにおけるAIの役割や利点・課題についてお話していきます。
インストラクショナルデザインにおけるAIの役割と利点
「サポーター」としての業務
AIは、膨大なデータの整理や、ゼロからイチを生み出す際の壁打ちにおいて、例えば以下のように労働集約的な作業を肩代わりしてくれます:
- 学習目標(LO)のドラフト作成: 学習者や現状などの情報に沿った学習目標の提案
- インタラクティブな活動の提案: 学習目標達成を促すのに効果的なアクティビティの提案
- コンテンツの推敲とブラッシュアップ: 専門用語の平易化や、トーン&マナーの調整
これらは決して「手抜き」ではありません。プロジェクトの基礎を素早く構築するための「戦略的効率化」です。
また、学習目標やアクティビティを自分で考えたはいいが、それが多すぎて絞れないとなった時に、AIにどれがいいか聞いてみることもよくあります。
AIをこうした「たたき台作り」に活用することで、一人で煮詰まることなくコース作成に取り組むことができます。「相棒」みたいな感じですかね。
浮いた時間を「より重要なこと」へ投資する
コース作成には様々な作業が伴います。インストラクショナルデザインにおいて、限られた時間の中でどこにどのくらい時間をかけるかは重要です。
AIを活用する最大の利点は、単なる時間の節約ではありません。節約して「浮いた時間をどこに充てるか」にあります。
教材開発(Develop)のフェーズをAIで効率化することで、例えば以下のような、IDの本質的な業務により多くの時間を割くことができるようになります:
- より深い分析(Analyze): 現場で何が起きているのか、真のパフォーマンスギャップを探る。
- SME(専門家)との対話: AIには引き出せない、現場の生きた知恵や暗黙知を言語化する。
- 評価(Evaluate): 研修後にどのような行動変容が起きたかを、より緻密に測定・分析する。
AI使用の課題
AIは確かに便利ですが、まだ発展途上であり、AIですべてが解決するわけではありません。
まだまだ人の手が必要であり、AIだけで完結するものではありません。
「人間による検証(Human Verification)」と「専門的判断」の不可欠性
AIがどれほど優れた提案をしても、それだけで完結させてはいけない理由があります。それは、AIは「その組織独自の文化」や「学習者が置かれた特有の文脈」、そして「最終的なビジネスゴール」を本当の意味では理解していないからです。
ここで、IDとしてのプロフェッショナルな判断(Professional Judgement)が必要になります。
- 文脈の整合性: その内容は、自社の現場のリアルに即しているか?
- 学習転移の検証: その活動は単に「楽しい」だけでなく、本当に現場での「行動変容」に繋がるか?
- 教育的根拠: AIの回答は一見正しく見えるが、インストラクショナルデザインの原理原則に反していないか?
また、AIは様々な有益情報を提供してくれますが、その情報がどこからのものなのか、その情報が正確なのかは、生身の人間による検証(Human Verification)が必要です。
この「人間による検証」のプロセスこそが、教材に魂を吹き込み、成果を保証するのです。
まとめ:AIに主導権を渡さずうまく付き合う
AIでプロジェクトの骨組みがより早くできるようになり、より効率的にプロジェクトの作業が進むようになるでしょう。しかし、プロジェクトを主導し、意思決定を下すのは常に生身の人間であるべきです。AIは「依存先」ではなく、うまく付き合っていく「相棒」であるべきです。
IDが「主導権(Lead)」を握り続け、AIを最高の「サポーター」として機能させることで、私たちはこれまで以上に価値のある学習体験を提供できるようになるはずです。
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