先日はAI活用やSMEとの連携についてお話ししてきましたが、今回は久々の落とし穴シリーズ。
ID(インストラクショナルデザイナー)が陥りやすい「落とし穴」の一つに、「お仕事引き受けすぎ」があります。
特にお休み明けのこの時期、溜まっていた依頼や「とりあえずこれお願い」という無茶振りに、NOと言えずパンクしていませんか?
実はこの「引き受けすぎ」には、単に自分が忙しくなるだけでなく、本来の『設計』という付加価値を損なうリスクが潜んでいます。
そこで本記事では、IDとしてお仕事を引き受ける際の判断基準や、SMEやステークホルダーを巻き込んだ戦略的な優先順位の付け方についてお話しします。
なぜ「引き受けすぎ」が致命的な落とし穴なのか
依頼をすべて受けていると、私たちの仕事は「学習設計」から「やっつけ作業」へとすり替わってしまいます。そうなると、一番の被害者は学習者です。
「とりあえずスライドにして」「急ぎで動画にして」という依頼をこなすだけで精一杯になると、ID本来の価値である「分析」の時間が消えます。
「なぜこれが必要なのか」「これで学習者は何を得られるのか」「本当にこの研修で課題が解決するのか?」
こうしたことを考える余裕がなくなると、「とりあえずこの日までに渡す」こと自体が目的になり、SMEから受け取った情報をそのまま流し込むだけの「情報の洪水(Brain Dump)」が出来上がります。
良かれと思って引き受けた仕事が、皮肉にもプログラムの質を下げ、学習者の時間を奪うという「最大の失敗」を招いてしまうのです。
引き受ける基準:その依頼は「学習目標」に直結しているか?
受け持つプロジェクトで忙しくなってきたら、例えば以下のように立ち止まって考えるための基準を持ちましょう:
- Impact(インパクト): その作業は、学習者の「行動変容」に「今すぐ」必要か?
- AI vs Human: それはAIで代用できる「作業」か?それとも、自分にしかできない「設計(意思決定)」か?
- チームや他プロジェクトへの影響:全体のリソース配分に無理はないか
「全部やります」と答えて質を下げるより、「学習効果を最大化するために、今はここにリソースを集中させます」と提案したり、チームにもっと適任者がいないか確認するなど、自分の許容量を把握して、難しかったら代替案を挙げるなどといった行動は、プロとしての誠実さです。
優先順位の付け方:SMEやステークホルダーを「味方」にする
優先順位は自分一人で抱え込んで決めるものではありません。以下のように周囲と連携することで、客観的な「正解」が見えてきます。
SMEと「インパクト」を握る:
専門家は「全部大事」と言いがちです。そこを例えば「現場で最もミスが起きているのは?」「初心者が最初につまずくのは?」などとと問いかけ、「今何が必要か」を優先して設計すべきポイントを絞り込みます。
ステークホルダーと「現状」を共有する:
締め切りやチームの状況を可視化し、「今のリソースで質を担保するなら、どれを優先すべきか?」を相談しましょう。もし締め切りや緊急性が被っていたりしたら、関係者にどれか動かせるものがないか確認するのも一つの手段です。これは拒絶ではなく、プロジェクトを成功させるための「冷静な現状分析」の共有です。インパクトや緊急性は、彼らとの対話の中ではじめて明確になります。
まとめ:自分のキャパシティをマネジメントする
優先順位をつけずに何でも引き受けると、すべての仕事が「中途半端な60点」になります。
リサーチを端折って形だけのアンケートを作れば、受講生は中身を読まずに全部の「すごく同意」に〇をつけ、現場は何も変わりません。そんな「やりっぱなし」を防ぐためにも、IDには「意思表示の勇気」と「優先順位を提案する力」が求められます。
「便利屋」を卒業し、周囲を巻き込んでリソースをコントロールする「戦略的パートナー」を目指しましょう。最高の設計は、あなたの「余裕」から生まれます。
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