インストラクショナルデザイン(ID)の世界にもトレンドはありますが、その代表格といえば「ゲーミフィケーション」です。最近は色々な「楽しく学ぶ」工夫がありますよね。大人でも結構熱中しちゃうことがあります。熱中しすぎて、通勤電車の降りる駅を過ぎちゃうことも……(笑)。
ただ、IDはあくまで「学習設計」であって、残念ながら「楽しさ」そのものがゴールになるわけではありません。楽しく学べたらそれが最高ですが、それで本来の「学習」が置いてけぼりになったら元も子もありません。
そこで本記事では、ゲーミフィケーションを「学習目標の達成」にどう繋げるべきか、陥りがちな落とし穴と共にお話しします。
「ゴール」は何ですか?
1. 「世界観」を作り込みすぎて、中身が薄まる悲劇
例えば、私が気合を入れて「RPG風コンプライアンス研修」を作ったとします。渾身の作品です。受講者は絶対好きなはず!案の定、受講者は豪華なアニメーションを眺め、伝説の武器を手に入れるためのミニゲームに熱中します。
さすが私です。
……しかし、いざ研修が終わって感想を聞いてみると。 「あのラスボスを倒す時の演出、すごかったですね!」 「武器の強化に30分もかけちゃいましたw」
……あれ? 肝心の「コンプライアンス対策」については、誰の口からも出てこない。
一体、私は何を作ったのでしょうか(苦笑)。
2. ポイント獲得競争による「達成感」の迷走
よし、今度はランキング機能を導入して受講者の競争心に火をつけてみましょう。受講者が「よっしゃ、1位になってバッジをコンプリートするぞ!」と言っています。
んふふ、、、計画通りです。
ところが、受講者は「内容を理解する」ことよりも、「いかに最短ルートで正解をクリックし、ポイントを稼ぐか」という攻略法を見つけることに全神経を注ぎ始めます。 もはや中身を読まず、正解のパターンだけを暗記してランキングを駆け上がるその姿は、学習者ではなく、効率重視の「プロゲーマー」です。
一体、私は何をしたかったのでしょうか(苦笑)。
何がいけなかったのか?
では、何がいけなかったのでしょうか。
受講者が研修に熱中すること自体は、悪いことではありません。ただ、本来の目的である「コンプライアンス対策」の学習目標がどこかへ行ってしまったら、それは単なる「ゲームで遊んだ時間」になってしまいます。
研修で目標が達成されなければ、いくら楽しくても意味がありません。IDが忘れてはいけないのは、あくまで「学習目標」です。作るものはすべて、目標達成のルート上に配置されていなければなりません。
楽しさを追求するあまり「手段が目的」になってしまうと、上記のような悲劇(喜劇?)が起こります。
学習目標を達成する手段としてゲーミフィケーションを取り入れるのは大賛成ですし、昨今の目まぐるしい技術発展を活かさない手はありません。ただ、それによる「楽しさ」や「エンターテインメント」を追求してしまうと、ゲーミフィケーションが貢献できる本来の役割からズレてしまいます。
まとめ:楽しさは「おまけ」ではなく「ブースター」であるべき
ゲーミフィケーションは強力な武器ですが、使いこなすのは意外と難しいものです。 「楽しかった!」という感想の後に、「で、結局何を学んだんだっけ?」という沈黙が流れたら、設計者はそれを「失敗」と受け止めなければなりません。
私たちが設計しているのは、受講者を「楽しませるためのゲーム」ではなく、あくまで「学習目標を達成するための体験」なのです。ゲーミフィケーションで単に「楽しむ」のではなく、「楽しく学ぶ」ものを作っていきたいですね 🙂
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